これまでに見てきた「信仰」とは異なり、お釈迦様のお教えは「観察型瞑想」です。この観察瞑想では、何か見えない力に頼ることはしません。今の瞬間に起こっている自分自身の身体感覚を刻々と観察するのです。また、自分の主観や感情も客観的に観察する対象にします。これが今を生きることに集中させて「智慧」を生み出します。非科学的なことは信じないという現代人には、これこそが相応しい教えといえるでしょう。
観察と同時に、生きとし生けるものへの「感謝と慈悲」の気持ちも育てます。その上で、自分を含めた万物が瞬間瞬間変化消滅する「無常」を観察します。この「無常」は、「苦しみ・不満」を生み出します。また、永遠不滅の実体はないという「無我」を観察することにもなります。この「観察型瞑想」は、「ヴィパッサナー瞑想」と呼ばれ、私は初期仏教のスマナサーラ長老のご指導を受けています。
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